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Vol.10
新生オリエンタルホテル神戸 開業レポート
Part 2.
 レセプションパーティレポート
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グランドオープンを5日後に控えた2010年2月26日、「オリエンタルホテル」のレセプションパーティーが開催された。小坂氏、岡田氏の2人の対談で語られた「新生オリエント」の世界がついに披露される。



01.パーティー受付から「オリエント」

02.遊びつつも、落ち着きをもたせる
03.要の場に神戸の要の要素を
04.絵画にもオリエント
05.窓を閉じればそこはアジア
06.Plan・Do・See流遊び心
07.最後までおもてなし


01.パーティー受付から「オリエント」

写真絶えることのない人の波をかき分け、満員のエレベーターに身を埋める。10秒後、3階で目にしたその光景はまさに、その空間を作り上げた者が掲げる「オリエント」の新たな解釈を具現化したようであった。3人の色鮮やかな着物を着た女性と、2人のスーツを着た女性が笑顔で来場者を迎え入れていたのだ。

新生「オリエンタルホテル」のデザインを手がけた小坂竜氏は本プロジェクトを通じて「オリエント」の新たな概念を切り開いた。日本人が抱くオリエントのイメージをただなぞるのではなく、日本、中国、アジアンリゾートといった、外国人が抱くオリエントのイメージもふんだんに盛り込んだのだ。

先の着物とスーツの女性はレセプションパーティーの受付担当者。赤、ピンク、緑と色鮮やかかつ妖艶な着物姿の女性が手際よくゲスト対応を行う中、ベージュのスーツをスマートに着こなした女性も同じように来場者を迎え入れている。この和装と洋装のミックス感、またそれに良く馴染むホテルの内装が、この「オリエンタルホテル」が掲げる新たな感性を引き立てている。

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02.遊びつつも、落ち着きをもたせる

パーティー会場の4階へ足を運ぶと場内の温度が数度上がった。そこは黒髪の波に包まれており、バーカウンターに目を向けるとすでに多くのモエ・エ・シャンドンの空瓶が並べられている。まだパーティーが始まってから1時間も経っていないというのに、だ。人の波をかき分けていくと本日の主役とも言える人物、Plan・Do・Seeの代表・野田豊加氏の姿が見えた。
あまりの熱気に会話と会話の間にハンカチを取り出し、額の汗をぬぐっている野田氏。外の雨など吹き飛ばしてしまいそうな勢いで、ホテルのビジョンをこう話してくれた。

「宿泊施設はウィズ ザ スタイル福岡ザ・ルイガンズなどで過去に手がけたことがあるが、街の真ん中にある『シティホテル』という形態は初めての試み。客層も先のホテルと比べ広くなるので、Plan・Do・See流の遊び心は保ちつつも、多くの人が心地よいと思える落ち着きを持たせたデザインとしかけを盛り込みました。また、結婚式場として需要もあるので、多くの若い女性にも好まれる場となってほしいです」

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03.要の場に神戸の要の要素を

様々なアジアの要素がちりばめられているこのホテルだが、ここ4階には日本の要素がとある場所に仕込まれている。その仕掛け人はホテルの印刷物のクリエイティブ・ディレクションを行ったドゥービー・カンパニーの飯島広昭氏だ。

「神戸はかつて多くの外国人が住み、建築や料理、お菓子といった様々な舶来品がこの地を通じて日本に伝わってきました。その中で忘れてはならないのがジャズ。実は神戸は日本でのジャズ発祥の地としても知られているのです。そこで多くの人が目にする場として、トイレにこのジャズのコンセプトを集約させました」

4階はチャペルやバンケットホールがあるため、ホテルの要となるフロア。人の出入りが多いことから、おそらくホテルの中で最も頻繁に利用されるトイレであろう。
チャペルと対角線上に位置するトイレは薄暗い照明の通路にぽつんと存在する。まるでジャズバーの一角に迷い込んだような錯覚を覚える。トイレに足を踏み入れるとその中には、レコード会社のロゴやミュージシャンの写真などが取り込まれたポスターが額の中に飾られている。レトロ感を感じさせる緑色のタイルに浮かぶポスターを眺めていると、まるでジャズが神戸に入ってきた頃にタイムスリップをしたような気分だ。ちなみに他階のトイレの壁面には竹や花のイラストを使用しており、4階のみが異なるコンセプトを持つことが伺える。

「これらのポスターのテーマは『伝統』『意匠』『革新』。昔の雰囲気を活かしながらも、現代の要素を取り込んだ独自の再編集を行いました。」(飯島氏)

それぞれのポスターには「オリエンタルホテル」の文字やロゴが入っており、鮮麗されつつもどことなく懐かしさを感じさせるデザインで統一されている。

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04.絵画にもオリエント

ロビーのある17階へ足を運ぶ。エレベーターを降りるとそこには一面に神戸港の夜景が広がる。天井を見上げるとシーリングファンが適度の風を送っており、ロビーの横には大きな暖炉が存在感を示している。港町、神戸を印象づける作りだ。

このフロアには、メインダイニングとなるTHE HOUSE OF PACIFIC、ステーキハウスのMedium Rare、寿司レストランの神戸、そしてバーのJ.W.Hartが鎮座している。J.W.Hartの一部はテラス席になっており、夏場は夜風に触れながら六甲山と神戸の町並みを背景にグラスを傾けられるのが心地よい。

それぞれのレストランの間を隔てる壁面に「結び目」がキャンバスいっぱいに描かれた作品が目に飛び込んできた。「Joinable 7」というアート作品で、京都在住の韓国人、ベ・サンスン氏によるものだ。

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「日本に住む韓国人というオリエントの混在感。それがこのホテルのコンセプトにマッチしたのかもしれないですね」

べさんは笑顔でそう語った。



05.窓を閉じればそこはアジア

ロビーの落ち着いた雰囲気を後にし、客室へと足を運ぶ。そこには小坂氏とPlan・Do・Seeが生み出したオリエントの世界が広がっていた。見る場所によって異なる形のアジアが目に飛び込んでくるのだ。ベッドを覆う帯のようなカバーやソファーに置かれている花形のクッションはタイの王邸を彷彿させ、デスク脇にあるライトや椅子だけをみるとアジアのリゾート地を彷彿させる。また、部屋やトイレに掲げてある船や港町の絵をみると、改めてここが日本の神戸であるということを思い出させてくれる。

部屋の備品をとってもこの世界観は通じるものがある。ティーセットを見るとティーポットとカップはほのかに青磁がついていることから東洋を彷彿させ、ティーセット全体が入る木箱は重厚な作り。書道用の高級筆が入っていてもおかしくない。

窓の扉を閉じあえて神戸の光景を遮断すると、日本とは思えない独自の「オリエンタルホテルワールド」に浸ることができる。



06.Plan・Do・See流遊び心

「シティホテル」という王道をゆくホテルの形態に足を踏み入れたPlan・Do・Seeだが、ゲストをニヤりとさせる「遊び心」も忘れてはいない。バスルームの照明は照度をコントロールでき、ムードを調整できる。ミニバーにはヴーヴ・クリコのハーフボトルとアルコール飲料が8缶も完備されており、ソファーに体を埋めて、ゆったりと飲み直すことも可能だ。また朝食メニューにはしっかりとシャンパンが入っており、「朝シャン」も堪能できる。

ホテルのエントランスとなる1階には1920-40年頃のオリエンタルホテルの写真に、当時の衣装をまとった野田氏や小坂氏、そしてPlan・Do・Seeのスタッフをコラージュした作品が掲げられている。

「野田さんはもうノリノリで撮影に臨んでくれましたよ。(笑)この写真ではセーラー服を着ていますが、他に本物の陸軍の軍服を着た撮影もしました。本物の日本刀を手にしたりりしい姿が似合っていましたよ!」

ディレクションを担当した飯島さんは、思い出すだけでも楽しそうだ。



07.最後までおもてなし

パーティー会場の「モエ・エ・シャンドン」の空ボトルがさらに並ぶ中、2軒目へと来場者が流れるエレベーターへ乗り込んだ。
「ブログ書いている人はみんな、今日のネタはオリエンタルホテルだね」
シャンパンで顔を赤らめた女性から思わず笑みがこぼれた。
「まだ2、3人乗れます」「エレベーターが出発します」
どこからともなく突如、エレベーターがしゃべり出した。
「こんなエレベーターはじめてだね」と女性達の笑顔がさらに大きくなった。
ちょっとニヤけてしまうけど、こんな気遣いが嬉しい。その場に足を一歩踏み入れてから最後の一歩まで。余すことなく、ゲストに笑みと良き非日常を提供してくれる。これぞ「Omotenashi Hotels」のスローガンを掲げるPlan・Do・See流の「おもてなし」なのかもしれない。

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オリエンタルホテル

〒650-0034 兵庫県神戸市中央区京町25
Tel 078-326-1500
http://www.orientalhotel.jp


文:柳澤大樹(フリーエディター)
編集:大原信子(株式会社ナカサアンドパートナーズ)