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Vol.03
Hot Talking Night in Ginza

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互いに視線を送りながらも、線と線で結ばれることがなかった俊傑たち。
その歴史的?な出会いの場を設けるべく、我らが仲佐猛が立ち上がりました。
とある夏の夜、銀座のレストラン「DAZZLE」で繰り広げられた、オトナ達のひそひそ・・・もとい、爆笑トーク。
憂国の士約2名の抱腹絶倒の舌戦?暴露?も鮮やか。そのほんの一部をお見せいたします・・・。

(2006年9月)


なれそめ

若かりし頃 仕事 ようこそニッポンキャンペーン

藤巻幸夫

藤巻幸夫(ふじまき・ゆきお)
セブン&アイ生活デザイン研究所代表取締役社長、イト−ヨーカ堂取締役。1960年東京生まれ。上智大学卒業後、伊勢丹入社。バイヤーとして「解放区」、「リ・スタイル」、「BPQC」などの数々の売り場を立ち上げ話題に。バーニーズ・ジャパンでもレディス部門のバイヤーとして活躍。その後、キタムラ専務取締役、福助社長を経て、05年より現職。

野田豊

野田豊加(のだ・ゆたか)
1968年東京生まれ。1991年大阪芸術大学芸術計画学科卒業。在学中から各種イベント企画運営、多方面のプランニングに参加。大学卒業後、オーディオメーカー「ボーズ株式会社」入社。営業や企画等のセクションからイベント・プランニング会社 株式会社ティダ・プランニングに出向。のち1993年4月株式会社プラン・ドゥ・シー設立。現在、ホテル、レストランを東京・京都・神戸・福岡等に展開。

インディゴ・アヤノ・モチヅキ

インディゴ・アヤノ・モチヅキ(いんでぃご・あやの・もちづき)
プロダクトデザイナー、クリエイティブディレクター。1970年東京生まれ。早稲田大学卒業後、エクアドル国立カトリカ大学研修生、岐阜の多治見市立陶磁器意匠研究所を経て、28歳でイタリア・ミラノのドムスアカデミ−に留学。現在はジャスパー・モリソンらと照明ブランド「Lx.(ルクス)」を立ち上げるほか、海外企業のブランディングや都市計画などにも携わる。





01. なれそめ
「目標は作品を仲佐さんに撮ってもらうこと。でもずっと、メキシコ人だと思ってました(笑)」 (インディゴ)
photo仲佐 藤巻さんと野田の出会いはいつ?

藤巻 伊勢丹時代に「解放区」という売り場を作った時、オープン2日目に(野田)豊が仲間と来たのが最初。まだ23歳で、坊主頭のBOSE社員という(笑)。第一印象は「なんだこいつ」。それ以来、15年間ディープな仲なんです。

仲佐 僕は六本木の焼き肉屋で会ったんだけど、その時の野田は汚い格好していてね。いけすかないやつだと思った。それから3年後に会っても態度は横柄なまま。全然変わらないよな。

野田 これから会社やっていこうという時だったから、気合い入ってたんですよ。しかし、第一印象散々だな(笑)。

藤巻 でも、「嫌なヤツ」って最高の誉め言葉だよ。豊はまず日本人にはいないタイプだしね。とりあえず、電話で出た瞬間に「今どこ?」って聞くのやめてくれない。「青山だよ」って言うと、「俺はニューヨークなんだけど」って…。聞かれてる意味がわかんないよ(笑)。

野田 僕にとっては「今どこ?」は「もしもし」と同じだからね。僕はブライダル会社を作って独立した時から絶対仲佐さんに撮ってもらいたくて、自分から直接電話したんですよ。今、うちの店は全部撮ってもらってるんだけど、本当に最高です!

インディゴ 私も、ぱっとみて「かっこいいな」と思う建築写真はどれも仲佐さんのだったんですよね。でも、「Nacasa & Partners」という表記から、日本人じゃないと思っていました。メキシコ人?みたいな(笑)。

仲佐 ただでさえ個人名じゃないのに、カタカナ表記だと出版社が嫌がるんだよね。だったらいっそのことアルファベットにして、海外の弁護士事務所みたいな感じにしようと思ったんだよ。しかも、「Nacasa」って、「マ・カーザ」にも発音が似てるし、いいかなと思ってね。

藤巻 仲佐さんとインディゴさんはどういうつながりなんですか。

インディゴ 仲佐さんの写真って光がすごくきれいで、いつか撮影してもらえるような作品を作ろうと思っていた矢先、私がデザインした照明を入れていた青山のレストラン「カミネット」で偶然お会いしたんです。ちょうどイタリアの建築雑誌『DOMUS(ドムス)』も取材に来ていて、作品を紹介するから写真を撮れと言われ、急きょ仲佐さんに撮っていただいた時は嬉しかったですね。

仲佐 実際、『ドムス』は存在感がある雑誌だよね。

インディゴ 『ドムス』の1ページは普通のインテリア雑誌の20ページ以上に相当するとも言われますしね。しかも写真の力が本当にすごい。

仲佐 中尾寛<※注1>という建築家が『ドムス』に載ったことがあって、その後すぐにノルウェーのオスロの建築学会から講演依頼があってね。講演に使う建築模型を、和歌山の岩塩鉱みたいなところで撮ったのが掲載されたんだけど、それがこの世のものとは思えない格好よさだったね。

<※注1>
中尾寛:1961年神戸市生まれ。
現在、愛知県美術館で開催中の展覧会「愉しき家」にてドローイングとモデル作品を出展。

展覧会「愉しき家」 2006年8月4日(金)-10月1日(日)
愛知県美術館(愛知芸術文化センター10階)
〒461-8525 名古屋市東区東桜1-13-2
Tel 052-971-5511 Fax 052-971-5604



02. 若かりし頃
「お金がないから、パーティに行くのは終わる20分前。会費を払わずに、人脈作ってました(笑)」 (藤巻)
photo藤巻  僕ね、ずっとコンプレックスがあったんです。普通の大学を卒業して伊勢丹に入ってバイヤーになったけれど、デザインを勉強していたわけじゃないから、ファッション業界やアート系の人たちの話が分からない。この人たちと会話をするにも、とにかく「面白い人にたくさん会おう」と、夜な夜な出歩いていたんです。

そんな頃に豊と出会って、とにかく二人とも金がないんだけど、元気がいいからパーティにはよく呼ばれるんですよ。だけど、二人合わせて所持金5千円ぐらいしかなくて、会費の1万円も払えないから、「会が終わる20分前に行けば会費取らないはず」と、狙って行ってました(笑)。会場に入ってからは、会う人会う人に「こないだ会いませんでした?」って声かけて、「知らないよ」って言われたりしながら、気づくとファッションやアートについても分かってきて、ずい分人脈もできてた。それが今夜にもつながってるんですよね。

野田 マッキー(=藤巻氏)とはかなりバカやってたよね。女性の好みも似てるし(笑)。

藤巻 いつだったか、ニューヨークで豊にばったり会ったじゃない。あの時社員を引き連れていて、聞けば「一流のものを食べさせに来た」って。なかなかできることじゃないと思ったね。

野田 今ね、250人の社員のうち、推薦された20人を研究員として月5万円まで経費で落としていいから旨いものを食べろって言ってる。僕が一緒の時は金額無制限。ホテル研究員というのも10人ぐらいいて、出張の時は必ずその街、そのホテルの一番いい部屋に泊まらせてるのよ。とにかく社員には一流のものを見せてやりたい。それが会社立ち上げた時からのモットーだった。去年、会社設立14年目にして人気企業ランキングで55位になった時は嬉しかったね。

藤巻 イトーヨーカ堂の順位は・・・頑張らないとな。
僕はスーパーの商品には「デザインはいらない」という風潮を変えたくて今の会社に来て、「pbi(ペーベーイー)」というオリジナルブランドも立ち上げたんだけど、もっともっとデザインを日常に取り入れていきたいんだよね。

仲佐 「pbi」ってどういう意味なんですか?

藤巻 「思いがけない小さな幸せ」のフランス語の頭文字(petit bonheur inattendu)をとったんです。ちなみに、今日来ている服もpbiのもの。ジャケット、6千円代。

野田 pbiのそのベルトもいいよね。クロコっぽいの。結局は、値段じゃないんだよね。



03. 仕事
「ホテルのアンケート、“次は誰と来たいですか”の選択肢に“愛人”。キャスティングミスしちゃったよ(笑)」

photo仲佐 そういえば、(プラン・ドゥー・シーが手がけた)長野の「THE FUJIYA GOHONJIN」<※注2>に行ったけど、いい店だね。

野田 善光寺の門前にある「御本陣藤屋旅館」をリノベーションしたんですよ。今、ちょっと面白いことやっててね、長野の店にも腕のいい料理人が揃っているんですが、それでも広尾のレストラン「アクアパッツァ」にかなわない部分もある。それで、「うちのレストランにあったらいいと思うメニュー」を社員に書かせて、そのメニューをアクアパッツァから買ったりしてるの。

藤巻 面白いね。そういうコラボレーションの仕方もありだなぁ。

野田 今度、博多でまたホテルをリノベーションするんだけど、N.Y.ソーホーの「The Mercer」みたいなの作りたい。あそこは部屋も狭いけれど、サービスも何もかもが一流。なのにダイニングはすごく安い。完璧で感動した。

藤巻 プライスコンシャスってやつだね。

野田 うん。L.A.の「モンドリアン」も久々に行ったら驚くほどサービスがよくなってた。(デザインを手がけた)イアン・シュレッガーも気合い入れ直したみたいだね。

仲佐 博多のホテル「WITH THE STYLE」<※注3>に行った時、カミさんがくすくす笑うのよ。よく見たら、部屋にあるアンケート用紙の最初に「次は誰と来たいですか?」の項目があって、選択肢の最初が「愛人」(笑)。もうウケるウケる。

野田 だってね、お堅いアンケートでゲストがモチベートされるわけがないじゃん。だから僕が作ったんですよ。「ホテルのBGMはいかがですか」の選択肢は「最高」「超最高」だからね(笑)

藤巻 面白すぎる〜。

野田 宿泊した瞬間にモチベートされるように、こっちも遊んでやろうと思ってるんだよね。いまだに宿泊率8割いってるのよ。チェックインは16時でチェックアウトは14時。国際電話かけても料金安いし、冷蔵庫もオールフリー。チェックアウト時に「昨晩のお飲物は」なんてヤボなことは聞かないよ。

仲佐 今度はキャスティングミスのないようにいきます(笑)。


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<※注2>

THE FUJIYA GOHONJIN

〒380-0841 長野県長野市大門町80
Tel 026-232-1241
http://www.thefujiyagohonjin.com/

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<※注3>

WITH THE STYLE FUKUOKA

〒812-0016 福岡県福岡市博多区博多駅南1-9-18
Tel 092-433-3900
http://www.withthestyle.com/



04. "ようこそニッポン"キャンペーン
「成田の入国管理を出る時は、“行ってきます”って言ってるよ(笑)」(野田)

photo藤巻 僕ね、最近、植木等さんの「無責任男シリーズ」のDVDを買って見直してるんですけど、あまりに笑いの内容が深くて、社員に「これが笑いだ!」と見せてまわってるんです。

インディゴ 中学の時、マドラ出版の広告学校に通っていたんですけど、そこでもどのクリエイターもクレイジーキャッツや植木等さんで盛り上がってましたね。いまだに魅力的なのはすごい。

仲佐 確かに、植木等は最高。それと森繁久彌の『社長繁盛記』というのが面白くてね。伊勢志摩にお妾さんと行く時の列車のインテリアなんてものすごく豪華。なんで今の列車はあんなにさっぱりしちゃったんだろうと思うぐらい。

藤巻 あのシリーズには、日本の文化と笑いの要素がすごくつまっていると思う。現代人こそ、見るべき作品だと思いますね。

野田 そういえば、マッキーがずっと僕に「本を読め」って言ってた白州次郎さん、キテるねー。

藤巻 うちの叔父がひいきにしてた京都の「お染」というクラブが白州さんの行きつけだったらしくて、子どもの頃から白州さんの話は聞いていたのよ。彼は、よくも悪くも中途半端じゃないところがすごいと思うね。

仲佐 日本を思う気持ちが違う。国士だよな。

野田 こないだね、ウォールストリート・ジャーナルの記者の知人が「日本をどう思う」って聞くから、日本の素晴らしさを説明したの。飯もうまいし、ちょっと行けば海も山もある。日本じゅうで桜は咲くし、新幹線が1時間に7本も出ていながら40年間事故率も低いし、財布を落としても8割が戻ってくる。世界160ヶ国探してもこんな国はないよ。でも、一緒に行った知り合いは「日本はダメだよ」と一言。その瞬間から2時間、激怒してたね。「祖国愛がない人は適当に留学して外国かぶれになって、帰ってくると日本をバカにするけれど、そんな資格はない!」って(笑)。

藤巻 僕も豊も祖国愛の塊だもんな

野田 本当にそう。僕ね、裏から「“ようこそ日本”キャンペーン」をやろうと思ってて。まずは成田や関空の入国管理の人を笑顔にすることから始めたい。絶対日本の第一印象よくなるじゃない。それだけで、トランジットだけじゃなくて、一泊しようかなって思うよ。

藤巻 確かにね。笑顔って基本的なことなのにできていない会社が多いよな。ダメな会社ほど笑顔がない。

野田 僕なんてね、イミグレーションに「ただいま」って入ってくるからね。行く時は「行ってきます」。びっくりされるけど(笑)。

藤巻 相変わらずキレ味いいなぁ。進化しまくってる!

野田 どんな人に会っても瞬間笑顔。免許証やパスポートの写真も笑顔マストにしたい。パスポート写真が笑顔だったら、行く先々で皆いい国だなって思うよ。日本に来る年間700万人の旅行者の数もいっきに10倍になるよ。あとさ、もしも僕が都知事になったら、まっさきに街をきれいにするね。しかも公衆トイレをめちゃくちゃキレイにする。そうだ、マッキー、いっそ都知事になって東京を祖国愛で包んでくれない?

藤巻 そういう客目線って政治家にも必要だよな。都知事ね・・・こないだ、映画にもなった「エメラルド・カウボーイ」の早田英志さんから「一緒に石油を掘りましょう」って言われたばかりなんだけど(笑)。今は、生活産業の分野から祖国愛を啓蒙していきたいね。イトーヨーカ堂でも、日本の伝統工芸を使った商品のラインナップを充実させてるところなの。

仲佐 そういえば、話変わるけど、野田って安藤忠雄さんに文句言ったんだって?

野田 直島のベネッセハウスとか表参道ヒルズは、ライティングも搬入導線もよくない・・・etc.とかね。確かに言いました。

仲佐 世界の安藤にダメ出しするお前はすごいな。

藤巻 でもさ、一番大事なのは好きか嫌いかをちゃんと言えることだよね。僕もそれでクライアントを失ったり出入り禁止になったこともあるけれど、正直に生きることが国をよくすることにつながる。「国士」としては、まずはそこから日本をよくしたいね!


DAZZLE

撮影協力

レストラン「DAZZLE」
所在地:中央区銀座2-4-12 MIKIMOTO Ginza2 8F・9F
TEL:03-5159-0991

インタビュアー/構成:大原信子(株式会社ナカサアンドパートナーズ)
文:松田亜子(フリーエディター)